経営革新支援法(新事業創出促進法)を活用した企業の成長戦略
①どういう企業に申請メリットがあるか?
・成長途上でまだ資金調達ニーズがある。
・ある程度の借入はできるが、より金利などの調達コストを下げたい。
・保証協会枠を目一杯使い切っているので、枠を広げたい。
・増資により資本金は膨らんでいるので、融資による資金調達枠を広げたい。
・特許の申請・審査請求が年間で20万以上(他の条件との兼ね合いによる)ある。
②申請メリットのない企業
・資金調達が不要なところ
・建設業、不動産業などオールドエコノミーの分野に属する企業
・赤字が継続しており、元々借入自体ができない企業(融資枠が倍になっても、元の枠がゼロであれば意味がありません。)
③対象企業:未上場企業であれば、殆どの企業が申請対象(資本金3億未満ないし従業員数300名未満なら対象)
④申請条件:設立後1年以上経過して12ヶ月決算を1度行っていること。
➡4月2日設立登記の3月決算法人は2期目が終了しないと申請できません。
⑤認定を受けるためには:新事業、新規での販路開拓など新規性があること(当該事業はまだ営業展開していないので、HPなどには記載していないことが必要)
特許権取得などがあれば、尚更、認定を受けやすい。
実際には新規性などは提出書類の作成の仕方如何で融通は利く。
⑥認定後の支援期間:3年から5年(申請次第で年数変更は可能)
⑦認定後の報告義務:簡単な事業遂行状況報告で済むので、事実上、中身は不問。
⑧認定企業に対する支援措置:
いろいろと細かな支援措置がありますが、代表的なものとしては、
・政府系金融機関からの借入が受けやすくなる。
・保証協会枠が倍になる。(特別保証枠の確保)➡これが最大のメリットです。
・担保の倍額評価(1.6億の融資まで)、第3者による担保提供も可能➡これも使い方次第で大きな効果があります。
・保証協会への保証料が半額になる。➡計算していただければ、想像以上の金額メリットがあることにお気づきになると思います。
保証料の計算は下記サイトなどでご検証ください。
http://www.fukushima-cgc.or.jp/200_annai/270_hosyoryo.htm
5,000万円を年利1.9%、5年の元利均等で借入をする場合の、保証料は276,931円です。
・特許料、審査請求料が3年間半額の減税措置になる。
・設備投資減税 ※中小企業税制参照
①取得又は製作の場合:特別償却率 取得価額の30%
税額控除率 取得価額の7%
②リースの場合 :税額控除率 リース総額の60%のうち7%
・欠損金の繰戻還付 ※中小企業税制参照
欠損金が生じた場合、1年前にさかのぼって法人税の一部を還付できる。
・各種労働関係の助成金、研究開発の補助金が受けやすくなる。(審査などは別)
⑨認定までに要する期間
各都道府県により異なりますが、毎月1度の審査会での審査承認により翌月に認定が出ます。それまでは数回都道府県の商工課などに出向いて役所の指導を受けます。会社の役員クラスの方にご同行いただくのは最初に2回程度となります。その場では、申請内容となる新規事業の内容、申請企業の沿革などを簡単にご説明いただくこととなります。
⑩自社で申請しない
この制度の申請は自社でしないほうが賢明です。理由は日常業務の中でエネルギーが割かれることと、複雑で多岐に及ぶ支援制度の中身を十分に理解しないまま申請すると、メリットを享受できなくなる可能性が高いためです。経験豊富なコンサルタントを活用することが結果として、支援措置を活用することにつながります。
⑪総括
上場を目指すようなベンチャー企業、ある程度の規模の企業に一刻も早く成長させて生き残りを図りたいという企業にとっては、当該制度は必須の活用アイテムです。
不幸なことに万が一、倒産などの憂き目に会った場合、政府系の支援措置ですので、民間銀行のプロパー融資と異なり、債務免除はありません。1円ずつでも返済は求められますが、金額は僅少でも済むことがあります。
また、ベンチャーキャピタルなどの機関投資家の資金を調達するにも、当該制度の認定を受けていると受けやすくなることは間違いありません。
私はこれまで200社以上の申請を手がけてきました。個人としての実績ではNo1だと自負しております。これに伴い、様々な金融機関ともパイプがあり、連携が取れる体制となっています。
閉塞感のある現在の経済状況下において、経営革新支援法は唯一とも言える成長促進のための公的支援制度です。今一度、この制度の活用方法をご検討ください。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/shoko/keiei/kakushin/
令和会計社にご相談ください