助成金ブームも終わり、それまでのやや大所帯になっていた事務所もいよいよ経営がやや厳しくなってきました。
既存の関与先からの定期的な顧問報酬では報酬水準が低くて採算が合わないためです。
そこで、一か所集中の従来型の事務所経営の方針を大幅に変更し、ネットワークを駆使した分散型事務所へと大きく転換させたのです。
これには、当時、弥生会計にライセンス制限がなかったため、ソフトをコピーしてばら撒けば、ただで地方在住の主婦層などに仕事割り振りできたためです。
これは本当に人件費等の削減になりました。
しかしながら、それまで貢献してくれたスタッフには退職勧奨も避けられませんでした。
担当会社などを持って独立してもらったり、他の事務所に転職してもらったりで大変な思いもし、気持ちも傷ついたことは事実です。
リストラは自ら実行する立場になると本当につらいものがあります。
一方で、在宅主婦などをネットワーク化したために、最初は指導や情報伝達に手間はかかりましたが、コストの大幅削減効果は物凄いものがありました。
正直、従来は採算が合わずに苦しんでいた案件が皆、黒字になるのですから、仕事としては笑いが止まりませんでした。
しかし、それも会計ソフトにライセンス数の制限がかかるようになってからは、そのビジネスモデルが成立しなくなりました。
要するに1ライセンスに毎年数万円かかるようでは、片手間のパート仕事の主婦層たちに仕事を振っても損益分岐点があがってしまうためです。
ある程度、専業に近いくらいの高稼働率の人を採用しないと厳しいということです。
それで、このビジネスモデルも断念しました。
次に経理経験のない人材を登用して時間をかけて教育訓練を行って育てていくというスタイルに変えました。
これですと、最初の中央集権型の会計事務所の経営スタイルに近いのですが、そこまで高コストでもなく、仕事のやり方も有資格者とは違って、こちらの意向を素直に受けてくれるため、標準化しやすいメリットもあります。
しかしながら、チェックや指導には時間がかかるため、目が届く範囲でしか規模を拡大できません。
また、人材の成長育成期間も相応にかかります。
このまままったりと小規模事務所としてショボショボやっていくのか、どこかで脱皮を図るべきなのか?モラトリアムの時代が続きました。
しかし、これも自分を取り巻く環境が変化してい行くとともに、現状維持では最終的に維持すらおぼつかないということを自覚せざるを得なくなったのです。(続く
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